社労士通信 7月号

   平成17年夏にスタートしたクールビズ。今では5月から始まるようになりました。 真夏にエアコンを28度に、というのは、なかなか厳しいところもありますが、地球温暖 化対策のために取り組んでいきたいですね。  掲載内容に関してご不明点等あれば、お気軽に当事務所までお問い合わせください。

安全衛生情報 会話で学ぶ人事労務管理の勘どころ 助成金情報


■ 求められる節電対策と
 事務所内の設定温度と照度

 震災以降、この時季になると節電が話題になりますが、2013年度については、安定
供給に最低限必要とされる予備率の電力が確保できる見通しとなったため、数値を設
けない節電要請にとどまることになっています。このため、昨夏まで行ってきた節電
対策を各企業で行うことが基本的な対応になるかと思いますが、過度の節電対策を講
じることで、熱中症等により従業員の体調が害されることも懸念されます。今回は事
務所内の温度と照度について、法令で求められる対策を取り上げましょう。

1.事務所衛生基準規則で定められている室内温度と作業場の照度

 そもそも事務所や工場などの職場における環境・衛生基準については、労働安全衛生
法にその定めがあります。具体的には労働安全衛生法に基づく労働安全衛生規則と事務
所衛生基準規則に規定されており、事務所衛生基準規則に室内温度と作業場の照度につ
いては以下の基準が示されています。
 このように事務所内では、室内温度を17度以上28度以下に保ち、照度を作業ごとに一
定基準以上にすることが努力義務とされており、労働者の心身の負担軽減等のためにも
事業主としては積極的に守っていくべき内容となっています。

2.節電と事務所衛生基準規則の関係

 節電が求められる状況では、室内温度を28度より引き上げることも考えられますが、
その状況下では室内といえども熱中症等の健康被害を引き起こすことが懸念されます。
このため、室内温度を28度より引き上げる場合には、WBGT値(暑さ指数)を活用したり
休憩場所を設置し、水分や塩分の摂取をさせたりすることが必要になります。
照度についても、節電を考慮すると低く設定することが考えられますが、精密な作業が
求められる作業場では、やはり300ルクス以上であることが望ましいと確認されています。

3.オフィスでの節電対策

 調査によるとオフィスビルでは、空調、照明、OA機器で約88%の電力消費をしており、
室内温度や照度を調整することは節電効果が高いとされています。従業員が執務を行っ
ている場所だけではなく、使用していない会議室や廊下等の消灯を徹底する、使用して
いないエリアは空調を停止するといった節電対策をとっていきましょう。

  2013年度の夏季の節電要請期間等は、7月1日(月)から9月30日
 (月)までの平日(8月13日(火)から8月15日(木)を除く)の9
 時から20時になっています。特に13時から16時は需要の最大ピーク
 になる傾向があるため、この時間帯を意識して節電をしていきたい
 ものです。

会話で学ぶ
人事労務管理の勘どころ

■ 特別休暇にまつわる実務上の問題

■ このコーナーでは、人事労務管理で頻繁に問題になるポイントを社労士と その顧問先の総務部長との会話形式で、分かりやすくお伝えします。

 当社では特別休暇制度を設けており、結婚休暇として5日間を与えることとしています。先日、 ある従業員より「この5日間に会社休日(土・日曜日)は含まれるのでしょうか?」という質 問がありました。就業規則にはそこまで細かい取扱いは決められていないのですが、どのよ うにしたらよいでしょうか?

 これは特別休暇に関して、実務上よく問題となる事柄ですね。そもそも特別休暇は法律で義 務化されたものではないので、会社休日を含めるか否かは会社としてルールを決めればよい ということになります。一般的には会社休日を除いて、特別休暇の日数を定めていることが 多いとは思います。

なるほど。その他、実務上どのようなことが問題となるのでしょうか?

ご質問の結婚休暇に関連するものとしては2つあり、1つ目は休暇を分割して取得できるのか、 2つ目は随分後になって取得の申し出があった場合に取得できるのかという問題が挙げられま す。例えば先に2日間取得し、1ヶ月後に3日間取得することや、結婚して1年後に、当時忙し く結婚休暇が取れなかったのでいまになって休暇を取得したいと申し出てくるといった事例 がよくみられます。

 なるほど。当社ではこの休暇を新婚旅行のために与えるという趣旨で設けていますので、連 続して取得してもらうことを想定しています。また1年後に取得したいといわれても本来の趣 旨に反すると私は考えますね。

 そうですね。様々な意見があるとは思いますが、このように対応に困ることがないように、 やはり就業規則にその取扱いを記載しておくことがポイントとなります。例えば、日数につ いては「連続した5労働日以内」と記載するとともに、取得期限についても「結婚式もしくは 入籍日より3ヶ月以内」といったようにルールを設けておくことが望まれます。

 なるほど。具体的に記載しておくことで、会社にとっても従業員にとっても分かりやくなり ますね。さっそく就業規則を見直してみます。

 また、特別休暇に関しては、その給与の取扱いについて就業規則に記載されていないことが 多くみられます。有給だと思って取得したら無給であり、あとになってトラブルになること もあります。繰り返しの説明になりますが、法律で義務化されたものではないからこそ、明 確なルールが必要になるのでしょう。

 当社の就業規則にも有給・無給の記載がなく、慣例で有給・無給の判断をしています。これ ではトラブルの元ですね。併せて、有給・無給の記載もしておきたいと思います。また分か らなことが出てきましたら、相談させてください。




【ワンポイントアドバイス】
特別休暇について、以下の具体的な取扱いを記載して
おくことが重要となります。
1. 給与支給の有無
2. 会社休日を含めた日数か否か
3. 連続して取得することを要件とするのか、
  分割して取得することも可能とするのか
4. 取得する権利の発生日と、取得の期限
  (権利が消滅する期限)を設けるのか。

■ 非正規労働者のキャリアアップを支援する
 助成金が創設されました


 有期契約労働者、短時間労働者、派遣労働者といったいわゆる非正規労働者の雇用の安定は国の重 要課題として位置づけられており、今回、企業内での非正規労働者のキャリアアップ等を促進するた めの助成金「キャリアアップ助成金」が創設されました。この助成金は6つのコース(正規雇用等転 換、人材育成、処遇改善、健康管理、短時間正社員、パート労働時間延長)から構成されていますが、 今回はこの中から比較的活用しやすいと思われる2つのコース(1.正規雇用等転換コース、2.パート 労働時間延長コース)を取り上げましょう。

1.正規雇用等転換コース
 これは、有期契約労働者等を正規雇用等に転換または直接雇用する制度を就業規則等に定め、実際 に正規雇用等に転換等した場合に助成金が支給される制度です。 [支給額および労働者の主な要件]
 また、派遣労働者を直接雇用する場合も、別途要件を満たすことでこの助成金を受けられる可能性 があります。

2.パート労働時間延長コース
 これは、週所定労働時間25時間未満の有期契約労働者等を週所定労働時間30時間以上に延長した場 合に助成金が支給される制度です。社会保険の適用基準を満たす労働時間まで延長することで、労働 者の能力のさらなる活用に繋げることを目的としています。
[支給額および労働者の主な要件]

支給額支給額労働者の主な要件
1人あたり10万円(7.5万円) 次の@からBまでのいずれにも該当する労働者であること
@週所定労働時間が25時間未満の有期契約労働者等であり、雇入後6ヶ月以上経過していること
A週所定労働時間を30時間以上に延長した時点から起算して、過去6ヶ月以内の週所定労働時間 が25時間未満の有期契約労働者等であること
B週所定労働時間を30時間以上に延長した後に社会保険の被保険者となっていること


このキャリアアップ助成金を活用するためには、
事前に「有期契約労働者等のキャリアアップに関す
るガイドライン」に沿って、事業所ごとに「キャリ
アアップ管理者」を配置した上で、「キャリアアッ
プ計画」を作成し、都道府県労働局長の認定を受け
る必要があります。また、各コースで別途事業主や
労働者の要件が定められていますので、事前に詳細
を確認しておきましょう。ご不明点等ございました
ら、当事務所もしくは都道府県労働局へお問い合わ
せください。